加齢黄班変性|富久クロス眼科|新宿区の眼科 緑内障外来 花粉症 女医

加齢黄班変性

錐体の集中地域である黄斑での異常です。

加齢黄班変性

加齢黄斑変性(AMD)は、発症率は高齢化にしたがって増えるという加齢に関係がある病気で、黄斑(おうはん)に起こる異常です。

人は一番見たいところを、黄斑を使ってみるので、黄斑に異常が起きると、見ようとするところが見づらくなります。人は目に入った光を、視覚情報を認識するための網膜というフィルムに映すことで映像を認識しています。球面状の眼底に広がる網膜はカメラの画素やフィルムに対応して、光を電気信号に変換して、脳はその電気信号を受け取り映像として認知するのです。
しかし、カメラの場合には、その感度や分解能はカメラの画素やフィルム全体に一様ですが、網膜での感度や分解能の分布は全く一様ではありません。

網膜の中心部は、色や明るさを認識する錐体(すいたい)細胞という視細胞が集中する地域として、感度が高く分解能や色の識別能力が高く最もものが鮮明に見える部分です。この錐体細胞の集中地域は、局所的に黄色く色づいていますが、黄色での着色は、フィルターとして感度の高い錐体細胞を光から保護していると考えられています。

そして、黄色く斑点のように見えることから、黄斑と呼ばれています。

症状は、歪み,中心暗点,視力低下です。

カメラでいえばフィルムの真ん中が壊れ、黄斑部分の細胞が死んだり出血したりしながら壊れて、歪み、中心暗点、視力低下になります。

  1. 歪み 網膜の内部に浮腫が生じると中心部がゆがんで見え、直線が曲がって見えます。
  2. 中心暗点 もっともよく見えるはずの中心部がぼやけ見えなくなります。読み書きができなくなり、会っている人の顔の表情が分からなくなり、自動車の運転もできなくなってしまいます。
  3. 視力が低下しますが、周辺部は見えることが多いので、歩くことはできることが多いです。
  4. さらに未治療で進行すると、失明の恐れがあります。
    先進諸国における失明の主な原因とされ、全世界で一億人以上、日本人では50歳以上の人の約1%にみられ、この10年で倍増しています。日本では、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症についで失明原因の第4位です。

加齢黄斑変性の仕組み

加齢黄斑変性(AMD)の網膜に機能障害が生じる前の前駆病変としては、例えば、ドルーゼンと呼ばれる白い塊があります。ドルーゼンは、網膜細胞が加齢によって変性し、視細胞の一部が剥がれ落ちて、網膜色素上皮細胞(網膜の最下層)の下に溜まった脂質を中心とした老廃物です。黄斑にはくぼみがありますが、ドルーゼンは、くぼみのずっと奥にたまって沈着しています。この段階では、自覚症状はほぼないのですが、進行すると、いわば画素が少しずつ抜け落ちるように、黄斑部分の網膜が徐々に萎縮して変性すると考えられます。⦅萎縮型(ドライ型)⦆この萎縮が黄斑部の中心である中心窩に拡大しなければ視力低下は生じません。

この沈着していくドルーゼンでは、その後の免疫反応による炎症の発生によって、新生血管が網膜組織につくられると、黄斑部に凹凸がもたらされて、歪みや視力の低下が生じてしまいます。そして、さらにそのもろくて弱い新生血管は、簡単に滲出つまり浮腫と出血を引き起こしてしまうために、黄斑の機能は急速に悪化して視力に障害が出ると考えられています。悪化のスピードは速く、発症してから 数ヶ月で矯正視力が 0.1 以下になることもあります。日本人には圧倒的にこの滲出型が多いのです。⦅滲出型(ウェット型)⦆

重要な早期発見治療

このように加齢黄斑変性(AMD)は、今まで見えていた方が場合によっては急速に見えなくなります。しばらく前までは手の施しようのない不治の病でしたが、最近、いくつかの治療法が新たに開発されて、また有効なサプリメントがあることもわかってきました。

しかし、目は二つあり、良いほうの目が悪いほうの目の見え方を補うので、まず片眼を隠してから見ないと、悪い症状が生じていることに気が付きません。そのうえ、加齢黄斑変性(AMD)の前駆病変には、症状はほとんどないのですから、眼科専門医での検査による早期発見治療が重要なことが分かります。

加齢黄斑変性 (AMD) の早期発見に大切なOCT

通常の眼底検査、カラー眼底写真撮影に加え、当院に完備されている 光干渉断層計 (optical coherence tomography:OCT) では眼底に光を照射して、その反射波を解析して眼の奥の網膜の断面を一目瞭然に映し出して、ドルーゼンなどを確認し、更に黄斑部だけでなく、新生血管による浮腫や出血の状態を確認します。

加齢黄斑変性の治療

ガイドラインとして、日本眼科学会の「加齢黄斑変性の治療指針」があります。

萎縮型と前駆病変であるドルーゼンに対しては、現時点では治療法がなく、ガイドラインでは、 「経過観察 • ライフスタイルと 食生活の改善 • AREDSに基づく サプリメント摂取」とされています。滲出型に対してもかつては治療法がなくお手上げでしたが最近は、出血や浮腫に対応して、ドルーゼン蓄積後に続発してくる新生血管の拡大を抑え退縮させる抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬注射や特殊なレーザー等の治療法が開発されていますが、(抗VEGF薬治療は、保険診療での3割自己負担が1回約5万5000円の負担です)根治治療にはなっていません。

このように治療法に限界があるので、禁煙や食生活などの生活習慣改善とサプリメントの利用による日常生活での危険因子の減少が非常に大切と考えられています。

加齢黄斑変性AMDの日常生活での危険因子

明らかになっている加齢黄斑変性AMDの日常生活での危険因子は、喫煙、紫外線 ブルーライト、食生活の偏りです。

喫煙は、日本人において、加齢黄斑変性AMD発症の危険因子であることがわかっています。喫煙者は,非喫煙者に比べ 4 倍の発症の危険があるという疫学調査の報告があります。喫煙は抗酸化物質であるビタミンCを破壊して、視細胞に酸化ストレスを与える活性酸素を発生させて網膜がダメージを受けやすくなると考えられています。禁煙が強く推奨されますが、禁煙の効果は直ちには出ません。

発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を光源とした液晶モニター機器や照明などから出る青色光(ブルーライト)は、波長の短い光なので、その波長の短さと反比例するエネルギーは大きくなり、黄斑に対しても、視細胞に酸化ストレスを与える活性酸素を発生させて網膜がダメージを受けやすくなると考えられています。

抗酸化ビタミンと亜鉛

アメリカではビタミン C・E 及びβ-カロテンという抗酸化ビタミンと亜鉛を一緒に取ることで、前駆病変及びもう一方の眼での滲出型加齢黄斑変性の進行リスクを有意に軽減するという統計学的に証明された大規模臨床試験(AREDS エイレッズ)が2001年にあり、加齢黄斑変性 への進行が20パーセントから25パーセント抑制出来ることがわかり、 先進諸外国においては、亜鉛及び抗酸化サプリメント摂取が加齢黄斑変性AMDの標準医療となっています。そこで、日本眼科学会のガイドラインにおいては、日本人についても、アメリカでの調査による処方に近いものの選択が推奨されています。

ビタミンEは、カボチャ、パセリなどに、ビタミンCはパプリカなどに、亜鉛は牡蠣などに含まれています。食事だけでは推奨レベルを摂取できない人のためにはサプリメントがあります。抗酸化ビタミンについて、AREDSに記載されている量は、亜鉛80mg、ビタミン C500mg・E 269mgです。AREDSではビタミンE については、これより高い用量を摂取しないこととされています。

カロテノイド(ルテインとゼアキサンチン)

緑黄色野菜に含まれる黄、橙、赤色などを示す天然色素をカロテノイドといい、カロテノイドであるルテインとゼアキサンチンは網膜での黄斑色素となり、光刺激に対するフィルターとして視細胞を保護しています。光のエネルギーは波長とは反比例の関係にあるので、最もエネルギーがありもっとも網膜を障害してしまう可視光である 最も短波長な青いブルーライトの反対色として、黄斑の黄色がエネルギーを弱めるのです。アメリカでのAREDSからβ-カロテンを抜き、ルテインとゼアキサンチンに置き換えた喫煙者にも安心な新処方のサプリメントによる大規模臨床試験(2013年AREDS2)によって、ルテインとゼアキサンチンを含むAREDS2は、AREDSよりさらに18パーセント加齢黄斑変性の進行を軽減抑制することがわかっています。

ルテインは、ブロッコリー 青梗菜 ほうれん草 小松菜 などに、ゼアキサンチンは、パプリカ、トウモロコシ、柿、鶏卵などに含まれています。食事だけでは推奨レベルを摂取できない人のためにはサプリメントがあります。AREDS2に記載されている量は、ルテイン10mg ゼアキサンチン2mgですが、AREDS2ではルテインとゼアキサンチンについては、これより高い用量も可能とされています。

眼球への抗酸化物質とカルテノイドの栄養チャージ

ガイドラインでは前駆病変,萎縮型加齢黄斑変性に対しては,禁煙や食生活などの生活習慣改善と 抗酸化サプリメントによる予防的治療が推奨治療です。

当院では、アメリカの臨床研究での統計学的証明に基いて、抗酸化物質とカルテノイド(ルテインとゼアキサンチン)が配合されたサプリメントをご用意しております。
特に50歳以降で、もうすでに片眼に加齢黄斑変性AMDの発症がある方、前駆病変がある方には長期投与が有用と思われます。

わが国ではサプリメントは栄養補助食品であり加齢黄斑変性AMDの治療薬ではないこと、抗酸化物質での統計学的証明は前駆病変及び片側眼にしかないこと、加齢黄斑変AMDの発症リスクを軽減するだけで完全に抑えることはできないこと、をご理解のうえご利用ください。